たまたまネットで20代半ばのライターの記事を読み、いろいろ考えさせられたので勝手な私見を述べたいと思う。彼はいわゆる平成不況生まれで、現在はライターの仕事をしているとのこと。中国のある都市に取材に行き、想像以上の経済発展に驚き、すでに日本は追い越されていると言う。それはかつて日本も経験した高度経済成長、もしかしたらそれ以上の急成長でこのままでは日本の若者は国外に流出してしまうそうだ。そこで日本のおっさんに対し愚痴とも文句ともとれるようなことがたくさん書かれていた。確かに中国は現在世界第二位の経済大国となり、GDPは日本の3倍になろうとしている。爆買いで銀座を闊歩している中国人、不動産を買いあさる中国人、ニュースで南シナ海海洋進出や尖閣諸島など頻繁にみるたび中国人に対して冷ややかだったり悪いイメージを持つ日本人が増えていると思う。
さて振り返ってみると日本はどうだったか。高度経済成長は戦後復興として比較的諸外国から好意的に見られていた?かはわからないが、少なくともバブル経済は明らかに異常だったように思う。自分が学生時代銀座のとある果物屋で深夜までバイトをしていたのだが、夜遅く酔っぱらった見た目普通のサラリーマンがお土産にと店に入ってきた。どちらかというと銀座の高級クラブに配達したりすることが多かったので店頭には値段が書かれていなかったのだが、銀座値段ということもあるが異常に高かった。レジで〇万円ですと言うと「えー、そんなに高いのか?ふざけんなよ!」と文句を言いながらもキャッシュで払って行った。当時は日本企業がニューヨークの有名ビルを買ったり世界中の有名絵画を買いあさり、個人レベルでも海外旅行で高級ブランドを買いまくり…結構世界では日本人が冷ややかに見られていたはずだ。湾岸戦争では憲法上の理由で自衛隊を派遣することができないので多額のお金を支払ったにもかかわらず、戦争終了後クウェートが各国に謝意を申し上げる中に日本は含まれていなかった。恐らく今の中国は当時の日本(それ以上かもしれないが)と重なる部分が多いのではないだろうか。
しかし一度そのようなバブルな経験をするとなかなか忘れられない人が多いのだろう。なんと言ってもアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国で中国の追随など予想もしていなかった日本人は、現在完全に追い越されているにもかかわらず現実を受け入れられていない、もう一度あの頃にと夢見ている人が少なくないのではないか。ところが冒頭の若者はそのような経験をしたことがない。というより生まれた時がすでに不況だったので、おっさん世代とは考え方も当然違うはずである。以前バブル世代とさとり世代の対談という面白い企画を読んだことがある。
バ)君たち本当にかわいそうだよね。僕らの時代は外車に乗ったり、海外旅行に
行ったりが普通だったんだよ。
さ)なんでかわいそうなんですか?別に車なんか動けばいいじゃないですか?
というか都会に住んでれば別に車いらないし。海外旅行?なんでわざわざ
海外?国内の温泉で十分ですよ。意味わからない。
…全くかみ合わないのである。ただこれはどちらが正しいということはないと思う。たまたま生まれた時代が少しだけ違っただけであって仕方がない。しかしこの先しばらくはおっさん世代もさとり世代も共存しなければならない。さらに次の世代も出てくる。世の中グローバルだったりITだったりAIなどなど、本当に目まぐるしく変化し時空がどんどん早くなっている気がする。そんな中今後日本はどうなっていくのだろうか。
一時期世界の覇権国家となったとしても永遠はあり得ない。これは歴史が証明している。スペイン、ポルトガル、イギリスなど現在の経済力をみれば明らかだ。アメリカも徐々にではあるが国力が落ちてきているのは否めない。次は中国かインドか?それは誰にもわからないが、日本はすでに落ちてきているのは間違いない。少子高齢化社会が進み労働力が不足し、ロボットやAIでなんとか持ちこたえようとしても再び経済が急上昇することは考えられない。国家のサイクルで考えれば成熟期か衰退期といったところだろうか。
ここが重要な分岐点になるのではないかと勝手に考えている。各世代の生まれた時や環境などそれぞれではあるが、同じ国で生活する以上一定期間は共存しなければならないので、日本国民がある程度幸せに生活するためにはお互い協力する必要があるだろう。要は日本という国ができるだけ今くらいの経済規模を維持し、無理やり経済成長しようとせず幸せを感じられるようなモノ、コトをそれぞれ見出せれば世代間の不満も少なくなり平穏でいられるんじゃないか…と願いも込めて思う。
「そこそこな日本」で成熟期を長く維持していけたら良いのだが…。
その大前提として平和でなければならない。戦争が始まればあらゆるものが壊滅する。最近東アジアは恐らく戦後最も緊張状態に置かれていると思われる。日本列島がハワイくらいまで移動できたら良いのだが、そんなことは短期間ではあり得ない。ではどうすればいいのだろう。戦わずして勝つ、というわけでもないが好むと好まざると近隣諸国と適当?にうまくやるしかない。中国や韓国が嫌いだからあいつらとは付き合わない!などと言ってしまえばうまくいくはずもなく、関係は悪化するだけだ。好きというわけでもないが、お互い付かず離れず程度でも関係を保っていれば戦争することはないはずである。さらにアメリカをはじめ多国間で協力関係を維持していれば、そう簡単に攻め込まれることもないだろう。北朝鮮が完全に孤立状態となっているが、戦前の日本の状況と似ている部分があるようにも見える。もちろん戦前日本の場合そのような状況に持っていかれたと思う(様々な意見があると思うが改めて)のだが、いずれにしても絶対に孤立してはいけない。歴史問題で中韓が世界中でロビー活動をしているが、史実と異なることははっきり主張して、しかし対立することなく適当な距離で付き合っていくのがベストではないだろうか。
日本(だけではないが)には軍事、経済、社会保障など様々な難題が山積している。待ったなしの状態のはずだが、モリカケ、相撲暴力問題などワイドショーネタで同じ内容を繰り返し放送していたりするところが平和なニッポンを象徴しているような気がする。そんなことばかり考えているのが自分もオッサンになったなぁ…とも思うのだが。
平成29年12月3日
銀座2丁目 リハビリテーションスタジオ・銀座フィジオス
Rehabilitation Studio GINZA PhyioS
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