頚椎 (Cervical Spine)

頚椎、つまり頚の骨は7つあります。その上に頭がのかっていて下は胸椎に繋がっています。頚椎の上は上部頚椎といわれていてそこから出ている神経は頭や顔 (脊椎洞神経や三叉神経など)にまで複雑に広がっています。形も他の脊椎に比べちょっと変わっています。上部頚椎に何らかの問題が生じると頭痛を起こした り顔面が痛くなったりすることがあるのはそのためです。
交通事故による“ムチ打ち”はよく知られていますね。後ろから追突されていったん頭が後ろに持っていかれてそのまま前に勢いよく振られるのでそう呼ばれて います。病院でレントゲンを撮っても特に異常は見られず、保険の関係もあって治療打ち切り、でも痛みは治まらないと訴える患者さんもいます。
何故か?考えられることとして上部頚椎周辺の靭帯や神経、筋肉、血管などを実は損傷していてなかなか改善しなかったという可能性があります。これらはレン トゲンでは確認できませんしMRIでも細かすぎて正確には判断することが困難であると思われます。頭痛やめまい、吐き気、顔面のしびれなどの症状(不定愁 訴)が続くのでストレスも溜まり、誰にも理解してもらえない…本当にお気の毒です。
ではどうしたら良いのか?これは後で述べるとして、“むち打ち”のような外傷でなくてもそれに近い症状が出現することがあります。それは“不良姿勢”で す。背中が丸まって顎を前に突き出したような形(Head Forward Posture)は頚椎の生理的な前カーブ(前彎)を減少させるため、頚椎の後面の靭帯や神経、筋肉、血管などを伸張(テンション)させます。これが機械 的刺激となり頚椎由来の頭痛などを引き起こすことがあるのです。最近テレビなどで“ストレートネック”などと紹介されていますね。特に上部頚椎には十字状 の靭帯や翼状に広がった靭帯などがあるのですが構造上テンションがかかりやすいと考えられます。
もしこれらの靭帯を損傷すると、足関節捻挫と同様に関節が不安定になる恐れがあります。ですから周辺の筋肉でしっかり関節を安定させなければ機械的ストレスによってそういった症状に悩まされる可能性があります。
また、痛みがあると防御的に“不良姿勢”をとることが多いのですが、これはそうすることによって神経の通り道(脊柱管)を広げて少しでも神経を刺激しない ようにするためです。しかし、中長期的に見た場合テンションが慢性的に加わるわけですからやはり良くはありません。ですから事故直後は除いて、できるだけ “良い姿勢”にすることが重要です。
筋肉も、なにもマイク・タイソン(古い…)のような太い頚にする必要はありません。頭の重さはボーリングの球と同じくらい重いので、その重い頭を“良い姿 勢”でしっかり支えられる筋力があれば良いのです。以前ブログでご紹介したように、“良い姿勢”を気をつけること自体が持久力の強化になるので思い出した ときは姿勢を直してみて下さい。
枕についても…と思いましたが、長くなりそうなのでまた機会があったら書きたいと思います。
よく体幹、四肢はトレーニングされますが、頚ってあまり鍛えないですよね。アメフトの選手ならガンガン鍛えているでしょうけど、そうでなくても頚について 意識してみることも大切ですね。アメリカの病院で研修を受けているとき、先生から“四肢”ではなく頚部も含めて“五肢”だ!”と言われました。
人の身体って複雑ですよね。もっともっと勉強しなければ…でもその前にサッカー行って来ます!今日はヘディングで1点だな(^^)v
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